1999年トルコ・コジャエリ地震被害調査速報

日本技術開発株式会社

環境防災事業部 磯山龍二


1.地震と調査の概要

 1999年8月17日午前3時01分(現地時間)、トルコ共和国コジャエリ県を中心としてマグニチュード7.8(表面波マグニチュード)が発生した。震央はマルマラ海が東に入り込んだイズミット湾、震源断層は西はイズミット湾から東方に総延長約150kmにも及んだ。震源は浅く、地表面に地震断層が現れた。図-1.1には主な都市と断層の位置を示している。断層の位置は正確ではない。また、同大学による地震の緒言を表-1.1にまとめる。

 被害はほぼこの断層に沿って東西にわたり、イスタンブール近郊のイズミット、アドパザリ、ギョルジュク、ヤロバといった都市が点々と被害を受けている(図-1.1参照)。特にイズミット湾北側のイズミット、アドパザリはトルコ経済を担う工業地帯を形成している。震央から約100km東のイスタンブール市内の被害はほとんどないように見受けられたが、空港の西方に一部地域で局所的に建物被害が発生している。

 この地震による死者は報道などでは1万7千人と言われているが、政府の危機センター(Government Crisis Center)の9月6日付けの数値によれば、死者15135人、負傷者23983人となっている。同様に崩壊ないしは重被害建物は20957棟と報告されている。

 この地震に際して土木学会では調査団を結成し、濱田政則教授(早稲田大学)を団長に約15名を派遣した。調査団の大部分はは9月5日(日)(成田出発)から9月11日(土)(イスタンブール発)にかけて現地を訪問、イスタンブールに滞在して、実質的には月曜から金曜にかけての5日間にわたって行なわれた。磯山は5日出発、11日にイスタンブールをあとにした。調査は土木学会、建築学会、地盤工学会の3学会共同調査として行われ、いずれ3学会合同の報告書が刊行される予定である。3学会調査団は現地到着、出発の時期は若干ずれるものの、ほぼ同じ時期に、同じホテルに滞在、情報を交換しつつ各々独自に調査を行った。調査の経緯、概要、結果等については以下のアドレスに詳しく紹介されている。(http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/jsce2/report/index.html)

表-1.1 地震の諸元(Bogagici Unversityによる*)
Date 1999-08-17
Time 03:01:37 a.m local time
Magnitude Surface Wave Magnitude 7.8 (USGS)
Body Wave Magnitude 6.3 (USGS)
Duration Magnitude 6.7 (Kandilli)
Moment Magnitude 7.4 (USGS, Kandilli)
Epicenter 40.702N, 29.987E (USGS)
Depth 17 km. (USGS)

* http://www.kandilli.koc.net/earthquake.htm

図-1.1地震断層と影響を受けた地域

(ボガジッチ大学ホームページの図に地名等を追加)


2. 地震断層

2.1 イズミットまで

2.2 サパンジャ湖からアドパザリ


3.地震動


4.ギョルジュクの沈降・水没

4.1ギョルジュクまで

4.2ギョルジュク水没


5.アドパザリの被害-主に液状化の状況


6.産業施設の被害

6.1石油精製所の被害

6.2トヨタSA工場


7.あとがき