アドパザリ(adapazari)は断層の真中よりやや東、断層の北約10kmのところにある人口約17万人の中規模の都市である。都市単位で言 えばこの地震による被害が最も顕著であった町ということができる。市中心部は写真-5.4に示すように壊滅的な被害をこうむっていた。写真に示す地区の建 物は鉄筋コンクリート5階建て程度のビルでざっと見た感じではほとんどが倒壊ないしは重大な被害をこうむっていた。この地区の人的被害は相当大きかったよ うである。
アドパザリはサカリヤ川の流域にできた都市であるが、かつては湖で、中心に島があったとのことである。この島のあったところが上記の顕著な建物被 害地区であると考えられる。この地区では地盤変状はほとんど見られない。一方、この地区の周辺では、建物も崩壊等の(いわゆる揺れによる)被害は少ないも のの、傾斜や沈下している建物が多く見られた。これらの地区では若干の噴砂が見られた。地盤は砂質系でゆるく地下水位は約2m程度とのことで、おそらく地 盤の液状化が発生したものと考えられる。写真-5.1〜5.3にこの状況を示す。
写真-5.1 アドパザール市中心部のビル傾斜
写真-5.2 アドパザール駅近くのビルの傾斜
写真-5.3 アドパザール駅近くのビルの傾斜。写真-5.2の側面
写真-5.4 アドパザール駅近くほとんどビルが倒壊している地域
(液状化はしていない)