断層はサパンジャ湖の中を縦断し、アドパザリ方面へ向かう(図-2.1参照)。サパンジャ湖では、湖岸に液状化が発生、若干の水平移動とともに沈 下が見られた(写真-2.7)。この沈下に伴い湖岸のホテルの半分程度が水没していた(写真-2.8)。この沈下は液状化によるものかもしれないが、この 周辺の湖岸がかなりの延長にわたって沈下していることから考えて断層運動に伴う広域の沈降である可能性が高い。後にギョルジュクの水没のところでも述べる が、横ずれ断層が雁行した場合、断層が飛び移る中間部は引っ張り領域となりこの部分が沈降することになる。サパンジャで湖はおそらくイズミット湾同様、こ のような断層運動によってできたプルアパートベイズンである可能性が高い。
サパンジャ湖を過ぎてアリフィエというところで高速道路を横切る。高速道路の跨道橋が落橋したところで見られた排水管の横ずれの状況を写真- 2.9に示す。断層は、高速道路と並行に走り、写真-2.9の50m程度東で跨道橋の下を通過、この橋を落橋させている(写真2.10)。さらに東に進む とトヨタSAの工場近くに高速道路のインターチェンジがあり、ここでも断層が見られた。ここで断層はサカエリ川を横切るが、その地点で古い橋の橋台を直撃 する形で橋を落橋させていた(写真-211)。
写真-2.7 サパンジャ湖岸の液状化と沈下。右に水没したホテル
写真-2.8 サパンジャ湖岸の半分水没したホテル
写真-2.9アリフィエの横ずれ
写真-2.10アリフィエ。高速道路跨道橋の落橋-手前のスパンを断層が横切る
写真-2.11アドパザリ近郊、サカリエ川の落橋。断層が手前の橋台を直撃している。