国道にかかる橋梁の変位計測業務
2021.4.10
地理院地図による地形の変化。過去に大規模盛土がされている
今回変位計測の対象となった片浦橋は、神奈川県小田原市を通る国道の橋梁で1959年に設置されています。この橋梁の横に位置する水路のBOX擁壁には変異が見られ、橋梁にも影響を及ぼしている懸念がありました。過去の航空写真等を確認すると周辺地域は大規模な造成盛土がされた土地であることが判明しています。この⼤規模盛土が水路のBOX擁壁の変状を生じさせる素因になっているものと考えられ、さらに国道橋梁の橋台部も変位している可能性がありました。このため、国道の管理者は当該橋梁と周辺構造物の変位計測を継続的に実施している状況にありました。
この業務では改めて橋梁の変位量を計測し、これまでの計測値等と⽐較検証するなどの考察を行いました。
EJECの取り組み手法としては、変動区域外に不動点を設置すること、変位計測の観測精度を確保すること、水路構造物そばの仮ベンチマーク*の標高も不動点から計測し直すこと、トータルステーションの機器計測とコンベックスを用いた直接計測を取り⼊れたこと、適正な補正(気圧・縮尺・温度)を実施したことが挙げられます。
検証の結果、橋梁や水路には⼤きな変位は計測されませんでした。業務を進める過程では、検証結果を報告するだけでなく今後の変位計測の手法について提案を行ったことで高い評価を得られました。
高度成長期以降に集中的に整備された日本の社会資本は今後一斉に老朽化する見込みであり、予防保全の徹底による安全・安⼼の確保とトータルコストの縮減・平準化の両立を図る必要があることから、正確で効率の良い計測技術、インフラの維持・保全のための様々な技術が求められています。
*仮ベンチマーク(KBM):一時的に設置する仮の水準点
業務名 | ⽚浦橋変位計測業務 |
業務内容 | 4級基準点測量4点、3級水準測量0.1km、路線測量0.1km、条件点の観測25点 |
期間 | 2020年6月3日~2021年3月31日 |
事業主体 | 神奈川県県⻄土木事務所 小田原土木センター |
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