測量方法を組み合わせて、狭隘な山間部の数値図を作成

2023.1.31

災害に強い交通路の確保

国道168号五條新宮道路は、奈良県五條市から和歌山県新宮市を結ぶ延長約130Kmの高規格道路です。紀伊半島の骨格を形成する道路の一部として、救急医療や災害時に地域住民の生活と安全を守るだけでなく、人と物の流れを活発にすることで地域活性化に寄与しています。
しかし、未改良区間が多くあるため、2011年の紀伊半島大水害では複数箇所で通行止めが発生し、住民の生活や経済に大きな被害をもたらしました。このため国土交通省では、未改良区間を整備し、防災対策を強靭なものにするため、五條新宮道路のうち、長殿道路(2.7km)、宇宮原工区(1.2km)、風屋川津工区(5.7km)、十津川道路【Ⅰ期】(6.0km供用済み)、十津川道路【Ⅱ期】(5.6km)の早期完成に向けて、事業を進めています。

現場に応じて測量方法を選択

エイト日本技術開発(EJEC)では、この五條新宮道路事業におけるトンネル工事に伴う発生土の受入地(4ha×3箇所)のうち未調査だった範囲の地形データ取得と、進入路や工事用道路の地形データ取得を合わせた約24haについての地形測量を実施しました。現場は山・河川・集落が複合する地域であったため、UAVレーザーによる地形測量を実施して、計画検討に必要な詳細な3次元点群データを取得し、等高線データはBIM/CIMに活用するために、既存の地形図(地図情報レベル1,000)との合成を行いました。
また、仮設橋梁設計のためには既設の橋脚や高架橋の正確な位置が必要でしたが、現場は狭隘な地形で作業員が近づけませんでした。そこで、安全な位置からの地上レーザー計測を提案し、さらに計測間隔を密にした3次元点群データを取得することで、精度の高い位置データを提供することができました。

業務名 五條新宮道路他発生土受入地他測量業務
業務内容 3級基準点測量3点、地形測量(UAVレーザー)0.27k㎡、数値図化0.242k㎡、条件点の観測18点
期間 2022年5月3日~2023年1月31日
事業主体 国土交通省 近畿地方整備局 奈良国道事務所

レーザー:国土交通省(国土地理院を含む)やJIS(日本工業規格)ではレーザと称する