「吉野川サンライズ大橋」が土木学会デザイン賞の優秀賞を受賞
2023.12.4
EJECが設計を担当した「吉野川サンライズ大橋」(徳島県)が2023年度土木学会デザイン賞(優秀賞)を受賞しました。
吉野川サンライズ大橋の計画・設計段階では、関係する学識経験者の方々のご指導の下、持てる技術力を集結し、かつ自由な発想で取り組むことができました。 プロジェクトの実現に向け、関係者の皆さまとも充実した連携を築くことができ、その結果が今回の受賞につながったことにあらためて感謝いたします。
【プロジェクトの特徴】
国内最長級のPC連続橋
四国横断自動車道は、四国4県を経て、瀬戸内側と太平洋側を結ぶ約441kmの主要幹線で、本四架橋と連携して本州・四国間の一体化を図り産業経済の発展に重要な役割が期待されています。 吉野川サンライズ大橋は、吉野川河口の海上に位置しているため、豊かな自然環境の保全や架橋環境の厳しさなど、乗り越える課題が多く、四国横断自動車の事業の中でミッシングリンクになっていました。 株式会社エイト日本技術開発(EJEC)は2014年8月から基本設計に携わり、「国内最長級のPC連続橋」として設計施工計画を立案しました。 また、2016年2月の工事開始から2022年3月開通までの期間には、E・Jグループ会社も含めて施工管理支援を行いました。
吉野川河口部の自然環境と豊かな恵みの保全
橋梁計画上の前提条件としては『干潟に生息する絶滅危惧種底生生物の保護、干潟を餌場・ねぐらとする野鳥の保護と野鳥飛来の阻害要因排除』『全国シェア9割を占めるスジアオノリの漁場への影響排除』がありました。これは設計のテーマのひとつ「浅瀬の浚渫量削減と構造部材断面最小化」に繋がりました。
工期短縮・合理化設計の実現
施工計画上の重要な制約は『出水期に河川内(堤防より低い位置)で施工できないこと』でした。これを解決するために上空(堤防より高い位置)から施工を行うことができる架設工法を立案しました。 また、河口部の海上部での厳しい塩害環境下であることから、橋梁本体から付属物まで高強度化・高耐久化を図りました。
国内最長級 約1.7kmの上部工連続化
橋全体を15径間連続化することで、構造上や維持管理上の弱点となるジョイントを省略して、耐震性能・耐久性・走行性の向上を図りました。橋桁が長くなることから、大規模な伸縮量に対応するため、「変形を制御する特殊なポストスライド支承の発案」「上部工閉合前の水平加圧工での強制変位」により長大橋の連続化を実現しました。 また、可能な限り上下部工剛結化して支承を削減することで、架橋後に浅瀬にて船で近寄れない橋脚部の将来のメンテナンス作業の削減に配慮しつつ、長周期の振動応答を避けて厚く堆積した軟弱地盤との共振にも配慮し、長大橋全体での耐震化を図りました。
国内初の床版一体型排水溝
約1.7kmの橋面上の排水は河川内に一切流入させないことを基本として、国内初の「検査路も併用した床版一体型排水溝」を発案しました。構造は、高強度繊維補強コンクリート(σck=70N/mm2)と連続繊維補強材CFCC(炭素繊維とエポキシ樹脂の複合材:錆びない鋼材)を使用して塩害を受けず、現場施工の省力化にも配慮したプレキャスト構造としました。
国内最長級415mの補助桁併用張出架設
上部工架設時に河川内施工をしないために、国内最長級の「補助桁併用張出架設」を発案しました。最大支間長130mの鋼架設桁の送り出しのために基本設計時にはピロン柱を併用した補助桁(L=415m、約3,000t)を計画しました。実施工では地元住民から「2階建ての橋ができるの?」との声があったほどの規模感となりました。
美しいフォルムの形成
橋の洗練された構造美の創出を目指した主なフォルムとしては、長支間化・構造断面の縮小化、橋全体の連続化、橋梁排水管の排除、上下部接合部の形状工夫、斜ウェブ・サークルハンチ、連続ラーメン橋台等です。
土木学会デザイン賞とは |
土木学会デザイン賞は公益社団法人土木学会景観デザイン委員会が主催する顕彰制度です。2001年に創設され、正式名称は「土木学会景観・デザイン委員会デザイン賞」といいます。公募対象を広く土木構造物や公共的な空間に求め、計画や設計技術、制度の活用、組織活動の創意工夫によって周辺環境や地域と一体となった景観の創造や保全を実現した作品およびそれらの実現に貢献した関係者や関係組織の顕彰を行っています。顕彰活動を通じて、本賞が目指すところは下記の通りです。
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国内初の床版一体型排水溝
干潟の広がる河口の朝焼け
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2019優秀賞
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2016 最優秀賞
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2017 優秀賞
- 株式会社エイト日本技術開発
- 実績紹介
- 道路・交通
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