100年間を見越した川崎市の橋梁長寿命化修繕計画

2021.3.31

混合マルコフ劣化ハザードモデルによる鋼部材の劣化予測

混合マルコフ劣化ハザードモデルによるRC床版の劣化予測

川崎市では、2010年12月に策定された「川崎市橋梁長寿命化修繕計画」(2016年3月一部改訂)に基づき長寿命化対策が実施されてきましたが、橋梁の高齢化が進み修繕工事の増加等が課題となっていました。さらに、損傷や劣化が進行する前に対策を行う予防保全型の維持管理へのより一層の取り組みが求められていました。
そこで、川崎市が管理する道路橋610橋(2020年3月現在)を対象とし、過去に実施された近接目視による定期点検結果の分析を行いました。
その上で、従来と比べより予防保全型の修繕手法を充実させ、持続可能で効率的な維持管理ができるよう、「川崎市橋梁長寿命化修繕計画」の改定を行いました。

本業務のポイントは以下の通りです。
(1)橋梁の健全度の傾向分析

全610橋の近接目視点検結果に基づき、道路の重要度別、建設後経過年別、橋種別等の健全度の傾向を分析しました。

(2)維持管理の課題の抽出と修繕計画策定

これまでの維持管理の課題を整理し、今後より効果的な維持管理が行えるよう「川崎市橋梁長寿命化修繕計画」改定の基本方針を整理しました。
また具体的な修繕計画の中では、橋梁点検・補修の時期や内容・手法等を設定しています。
補修等の対策は、状態が悪い橋から先に行っていく必要があるため、まず(1)の結果を踏まえた優先度の指標の検討を行い、その指標に従って優先して対策を行う橋梁を設定しました。
対策の時期を設定するためには、部材ごとに劣化予測を行い、劣化が軽度なうちに手当ができるよう計画しました。
劣化予測には混合マルコフ劣化ハザードモデルによる方法、回帰曲線グラフによる方法等を活用しています。

(3)今後100年間のライフサイクルコストを算出し効果を確認

上記の計画により予防保全型維持管理を行った場合と、対症療法型維持管理を行った場合のライフサイクルコストを算出し比較を行いました。
今後100年間の予算シミュレーションを行った結果、予防保全型維持管理の方がライフサイクルコストを大きく低減できることが明らかになりました。

業務名 川崎市橋りょう長寿命化修繕計画更新業務委託
場所 神奈川県川崎市全域
期間 2019年9月18日~2021年3月31日
事業主体 川崎市建設緑政局