中越地震による
調査日:平成16年10月30日(土)
1.
本調査では、このうち被害の顕著であった、信濃川下流流域関連公共下水道(長岡処理区、都市計画用途地域)のうち小千谷小学校周辺及び若葉町一丁目周辺、吉谷地区農業集落排水処理計画区域のうち吉谷小学校周辺の地域を対象とした。
なお、
2.信濃川下流流域下水道(長岡処理区)の位置
出典:
参考XLS:
3.
小千谷市は、中越地震による被害が甚大であった地域であり、下水道施設の被害も相当数に及んだ。
ただし、公共下水道の処理場は長岡市に所在(致命的な被害は生じていない)していることから、管渠、マンホールおよびポンプ場が対象となる。
本報告では、目視で確認できた管渠被害について整理する。
(1) 小千谷小学校周辺(MAP01 地図出典:国土地理院)
小千谷小学校は、被災した市民の避難所に指定され、周辺は騒然としている。
小千谷小学校は、船岡地区(丘陵地)の裾に位置し、茶郷川右岸の低地に位置する。
今回被害の顕著であった路線は、小学校の北側(茶郷川)よりに位置する。
周辺の状況は、
@ 魚沼神社の鳥居・やぐら崩壊(photo)
A 水道管漏水(舗装亀裂より噴出、水道復旧前で圧力は小さい可能性高い、photo)
B 電柱傾斜(道路陥没が顕著な箇所で大きい、photo)
に見られるように、地震の影響は大きい。ただし、噴砂等の痕跡は見られない。
下水道の被害は、路面陥没(埋戻し部のみ、当該箇所の埋戻し土は未確認)、マンホール浮上40cm程度。
ただし、復旧工事が既に始まり、被災後全体の状況までは未確認。
1) 土川二丁目付近では、道路陥没の仮復旧工事がほぼ完了しつつある。マンホールの浮上量は小さい。
また、陥没の範囲は、管敷設時の埋戻し掘山内と推定され、概ね30cm程度。マンホール周辺が少し大きく沈下している。
中を確認したマンホール自体は損傷はなく汚水は滞留している。管渠の接続口は確認できないので、管口に損傷があるか否か、土砂の流入があるか否かは不明。
マンホール深は約3m。
2) 土川一丁目付近では、道路陥没とマンホール浮上が見られる。マンホール浮上は最大で40cm程度。
陥没は最大で約30cmであるが、縦断方向で路面が波をうっているところが土川二丁目と異なる傾向である。
目視ではマンホールの異常は見られないが、管口付近に小規模な損壊が見られる。
下水は流下しているが未だ水道が復旧していないので、閉塞等で流下機能に支障があるか否かは今後の問題となる。
マンホール深は約3.5m。
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@土川二丁目付近 |
左手が茶郷川方面 |
上が奥(下流) |
マンホール健全 |
A土川一丁目付近 小千谷小学校北側 |
左手が茶郷川方面 |
同左 |
逆向き |
マンホール |
同左 |
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(2) 若葉町一丁目周辺(MAP02 地図出典:国土地理院)
若葉町は、茶郷川を挟んで土川の対岸に位置する。周辺は新たに街区整理されており、従前は田圃であったものと考えられる。
周辺では、信号機機能停止、停電(電線工事中)等の被害が発生している。
若葉町一丁目交差点付近は車道幅員が広く、歩道内に下水管が埋設されているが、土川地区同様、掘削幅での沈下が見られる。
また、歩道内に埋設されたことで、舗装は歩道幅員全幅で破損、周辺状況から液状化が生じたものと考えられる。
マンホール浮上は最大で1.5m程度(M01)。蓋を開けることができた手前(下流)のマンホール(M02、深2.15m)では汚水が滞留している。
浮上したマンホールも同程度のマンホール深と思われ、浮上量からマンホールと管は完全に離脱しているものと推察される。
M03(深2.15m)はマンホール内に滞留するも、躯体自体が約70cm浮上していることから汚水は周辺へ流出、或いは下流のマンホールへ流れているものと考えられる。
M03ではマンホール内で管口が確認できたが離脱は見られない。
管上の沈下量(舗装面でありその下で空洞ができている可能性はある)は約20cm程度、管径が250mmであることから概ね沈下量と同じである。
また、マンホール付近では舗装の破損が激しく、沈下量も大きいことから管渠はスパン中央で大きくたるんでいることも予想される。
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M02〜M01 |
M01 |
M02 |
M02内部 |
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× |
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交差点〜M03 |
M03 |
M03浮上(約70cm) |
M03内部 |
M03管口 |
(3) 吉谷地区(MAP03 地図出典:国土地理院)
吉谷地区は農業集落排水事業で汚水排水の整備を行っている区域で、今回被害の顕著であった箇所は浄化センター(吉谷地区農業集落排水処理施設)付近、藤田沢・滝谷地区(吉谷小学校付近)である。
M01(躯体高さ2.85m)は液状化により完全に浮上し転倒した(復旧作業を担当する施工業者談、photoは転倒したマンホール)。
M02はその1つ上流のマンホールで既に撤去復旧済みであったが、同様のヒアリングでは1.7m程度浮上した。
マンホール継ぎ手には可とう性管を使用しておらず、これにより埋設管(塩ビ管φ200)はマンホールから一つめの継ぎ手が完全に破損(photo)。
浮上したマンホールは占用位置の問題で内空断面を小さくでき、壁厚を薄くできるレジンコンクリート製のマンホールを使用した。
また、埋戻しは指針に従い山砂を使用、周辺地盤は液状化せず、埋戻し部分のみが液状化したとのこと。
これと適う状況として、隣接する浄化センターは外的には損傷、変状がない(浄化センター正面、側面)。
次に、吉谷小学校西側の地区、山裾の路線での被害状況を示す。
当該地区は、前田川の右岸に位置し河岸からは数mあがった地点であるが、細かな谷筋が入り込んでおり、雨天後の影響もあってか地盤より湧出している箇所があった。
当該地区の陥没も管路上部で掘削線に沿って生じており、埋戻し土が原因の一つにあげられる。
M03(マンホール深3.45m)は約1.4m浮上しており、マンホール内には滞留は見られない。即ち、地表面から管底まで約2mということになる。
マンホール自体は大きな損傷はなく、管口で剥離が見られる程度であった。
M04はその上流に位置するがマンホールは汚水が滞留している。M03方向に逆勾配地形に埋設され、滞留した水面までの深さは約2.5mであった。
マンホール浮上は約30cm、よって地表面から水面までは約2.2mとなる。
M03マンホールの下流は大きな浮上が見られず、管底高の関係からは流下機能は確保可能と推察できる。また、これによりM03に汚水の滞留が見られないことは適合する。
地盤面はM03とM04で数十cmの違いがあるため管が逆勾配になっており、また管渠がたるんでいるとすればM04から下流への流下には今後支障が生じる。
M05(マンホール深1.5m)はM04のさらに上流に位置する。ここでも汚水の滞留は生じている。
マンホールの浮上は見られず、地表面から水面までの差は約1m。地表面の高低差から推察すればM04とは連絡しているものと考えられる。
ただし、標高については測量をしていないので、あくまでも目視の範疇である。
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小学校側〜M03 |
M03 |
M03浮上 |
同左1.4m |
M03内部 |
M03管口 |
M04 |
M04内部 |
M05 |
M05内部 |
(4)その他
吉谷地区周辺でのその他状況に、処理場に隣接する関越自動車道下のカルバート被害がある。(カルバート目地開きおよび地震時の振動により土砂が流出)
詳細は、別途報告による。
4.
[URL http://www.city.ojiya.niigata.jp/index.html ]