液状化


(1)豊頃駅前通り

下水道の項で述べた中央新町、豊頃駅前ともに原地盤の液状化はない。全て下水道管埋め戻し部の液状化である。下水道の項と重複するが以下に紹介する。

豊頃駅周辺の概略被災位置はこちら (ベースマップは国土地理院 1/25000 地形図による)


噴砂は明黄褐色の細粒砂。細粒分が多い。

豊頃駅前の地下水槽(?)の浮上


(2)大津漁港

大津漁港では噴砂、マンホールの浮上などが見られたが、小規模ではあるが液状化に伴う側方流動が発生していた。


写真奥が岸壁、左は海、右が道路をはさんで水路。道路を含む幅20m、長さ約50m程度が沈下しつつ水路方向に流動している。ただし、水路にはあまりせりだしておらず、水路わきの道路はやや持ち上がっているように見える。

すべりの開始部分。約20cm程度沈下


(3)釧路芸術館周辺

釧路市の釧路川河口、フィッシャーマンズワーフ近くの公園、芸術館庭などで噴砂が見られたが、護岸、建物、道路などには被害はほとんど出ていない。

歩道と車道の接合部からの直線的な噴砂。暗灰色の細粒砂。

釧路芸術館公園芝生内の噴砂。暗灰色の細粒砂。芝生中央の噴砂はこの1カ所。芝生には噴砂口ができにくいのか?

釧路芸術館横の噴砂。ビルの壁に沿って噴いている。


(4)釧路市魚市場

1993年の釧路沖地震、翌年の北海道東方沖地震では液状化により大きな被害を受けた所であるが、今回は若干の噴砂が見られる程度で地盤、建物など大きな被害はなかった(対策の効果か)。

表面排水路と車道の接合部に沿う直線的な噴砂。暗灰色の細粒砂。

魚市場建物の端部の掘削発生土。貝殻片や径5cm程度の礫を含む細粒〜粗粒砂。


(5)釧路西港第4埠頭

ごく最近埋め立てられた所と思われるが、ほぼ全面的に噴砂が発生していた。これに伴い道路は若干の被害を受けていたが岸壁はほぼ健全のように見えた。

噴砂の噴出口。成層火山のような砕屑丘が形成されている。径5cm程度。

随所に噴出口がある。

径30cm程度の噴砂口。暗灰色の細粒砂。掘り起こすと粗粒砂が積もっている。

車道と歩道の接合部にある噴砂と陥没

西港第4埠頭の岸壁。岸壁は健全だが(ケーソン?)背後のエプロンが被害を受けているようでシートがかぶせてある。

岸壁先端部。エプロンは約20cm沈下


(6)新東陽団地

下水道の項でも述べたが、この団地の道路にはほぼ全面的に噴砂が発生、下水道マンホールが突出していた(下水道の項参照)。
釧路町東陽土地区画整理組合理事長下川明保氏によるとこの辺りは湿原で基盤は60〜70m位、産業廃棄物などの捨て場になっていた。釧路沖地震後に造成、分譲された。
造成にあたっては深さ1.5m程度砂に置換したそうである(全面的ではないが)。
道路に噴砂はあるが、宅地内にはほとんど噴砂がない。ただし、ある部分では、地盤に亀裂が入り、そこから噴砂、庭が沈下するなどの被害があった箇所は沼であったとのことである。
住宅にはほとんど被害が見られない。理事長のお話によると各住宅は深さ12m程度の杭基礎を施してある(12m辺りの深さにシルト層がありここに支持)。

新東陽団地の概略位置はこちら (ベースマップはカシミール3Dによる)


宅地内の被害が大きかった箇所。この家と隣の家の庭には亀裂が入り沈下している(20cm程度)。住宅は杭で支えられているため沈下していない(M氏宅)

M氏宅の庭の沈下状況。向う隣の家の庭も同様の被害

M氏宅隣の空き地の亀裂。庭の亀裂の延長

右奥がM氏宅。左は汚水マンホール、道路右側が沈下している。

建築中の住宅。基礎から噴砂、しかし建物は健全

上の写真の家の近くの噴砂、宅地内での噴砂はごくまれ

歩道と宅盤の接合部に沿う噴砂。宅盤側は表層に芝生の植え込み。宅盤内に噴砂は見られず、沈下もしてない。

電柱を中心とする噴砂。明黄褐色の火山灰質細粒砂。軽石を含む。

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